建設分野における特定技能制度の改正について

▷改正の背景

令和4年8月30日から、特定技能の業務区分が変更となっています。

 

変更前は、19の業務区分で特定技能外国人の受入れを行ってきました。

しかし、このような専門分化に対し個々に対応した制度は、1人の技術者が関連性のある複数の業務に対応することが一般的である地域の中小建設業の人手不足には十分対応できていない実態が明らかになってきました。

また、特定技能制度の活用を新たに希望する工事業も増加してきました。

 

以上のような状況に鑑み、令和4年8月30日に「中小・小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足に対応する」という特定技能制度の趣旨も踏まえて業務区分を抜本的に見直し、地方を中心とする多能工の人手不足に的確に応えられる制度へ改正されました。

建設業法において建設業と定められている業種であっても、特定技能の受入業種の対象外となっているケースもありました。そもそも細分化されていて業務区分もわかりづらく、判断が難しいケースも多くありました。

今回の改正によって、建設業許可の業種すべてが網羅されるようになっており、区分もわかりやすく設定されました。

 

なお、既に特定技能外国人として就労中の場合には、これまでの業務区分を「制度改正に伴う業務区分読み替え表」に基づき読み替えた新たな業務区分に対応する業務を行うことができます。したがって、従事する作業の追加又は変更がない場合には、国土交通省等への届出等の手続きは不要です。

 

▷業務区分の変更点

下図の通り、従来は建設業の特定技能における業務区分が19区分と決められていましたが、「土木区分」「建築区分」「ライフライン・設備区分」の3つに統合されました。

 

(従来の区分)

建築板金            

建築大工 型枠施工

鉄筋施工

とび 屋根ふき 左官 配管
保温保冷 内装仕上 表装 コンクリート圧送
建築機械施工 トンネル推進工 土工 電気通信
鉄筋継手 吹付ウレタン断熱 海洋土木工

 

(変更後)

土木区分 建築区分 ライフライン・設備区分

 

変更後の区分の考え方は次の通りです。

土木区分

土木区分は、指導者の指示・監督を受けながら土木施設の新設・改築・改装・維持・修繕に係る作業等と定義されます。ここでの「土木施設」とは、道路・公園・河川堤防・港湾施設・空港滑走路等が当てはまります。

  (例)コンクリート圧送、とび、建設機械施工、塗装

 

建築区分

建設区分は指導者の指示・監督を受けながら、建築物の新築・増築・改装、移転や修繕、模様替えに係る作業等と定義されます。建築物とは、屋根・柱・壁があるものを指します。イメージとしては住宅や、商業施設などの建物です。

  (例)建築大工、鉄筋施工、とび、屋根ふき、左官、内装仕上、塗装、防水施工

 

ライフライン・設備区分

ライフライン・設備区分は、指導者の指示・監督を受けながら、電気通信、ガス、水道、電気その他のライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業等と定義されます。この区分では、電気通信、ガス、水道、電気等を設備、変更・修理する作業と、住宅などの附帯設備としての作業のどちらも行うことができます。建設業の区分では、専門工事と呼ばれることの多い業種が該当します。

 

旧業務区分と、新業務区分は次の通りに扱われます。

なお、従来通り、作業準備や材料等の運搬作業、片付けといった専門性のない業務については、日本人も通常従事するような付随業務を行うことについては、今まで通り差支えありません。