不動産特定共同事業の契約類型

不動産特定共同事業で取り扱うことができる不特契約の主なパターンとして、

①任意組合型

②匿名組合型

③賃貸契約型

があります。

 

「①任意組合型」

各当事者が、出資を行い、その出資による共同の事業として、そのうちの一人又は数人の者にその業務の執行を委任して不動産取引を営み、当該不動産取引から生ずる収益の分配を行うことを約する契約、を言います。【法第2条3項1号】

つまり、投資家と不特業者が組合契約を結び、組合として取得した不動産を運用し、当該不動産取引で得られた収益を投資家に分配する、というものです。

 

任意組合における出資は、投資家が対象不動産の共有持分を取得した後、当該組合へ不動産の現物出資を行うケースと、投資家と不特業者が組合契約を結んだ後、投資家からの金銭出資にて不動産を取得するケースがあります。また、任意組合における出資は、金銭出資や物(現物出資)だけでなく労務出資も認められているため、投資家が金銭出資(現物出資)を行い、不特事業者が業務執行役員として労務出資をする、といった内容の契約にすることも可能です。

 

任意組合型の場合、組合財産は、任意組合に帰属し、総組合員の共有に属することになります。また、事業から生じた第三者に対する債務については、出資した金額等に関わらず無限責任を負います(無限責任)。

 

任意組合の業務の決定は、組合員の過半数をもって決定しますが、任意組合契約で定めることにより、一人又は数人の組合員又は第三者へ委任することもできます。不特事業については、不特業者が業務執行の委任を受け、業務執行役員となります。

 

〇任意組合型のスキームの例(現物出資の場合)

 

「②匿名組合型」

当事者の一方が相手方の行う不動産取引のため出資を行い、相手方がその出資された財産により不動産取引を営み、当該不動産取引から生ずる利益の分配を行うことを約する契約、を言います。【法第2条3項2号】

 

つまり、各投資家は不特業者との匿名組合契約に基づき金銭出資を行い、当該出資金により不特業者は現物不動産を取得し、不動産取引から生じる収益を出資した金額に応じて分配される、というものです。任意組合型契約は、1事業につき1契約であるのに対し、匿名組合型契約は、投資家毎に匿名組合型契約を結びます。匿名組合出資については、出資と物の出資(現物出資)だけが認められ、任意組合出資のような労務出資は認められません。

 

匿名組合型契約の場合、組合財産は、不特業者に帰属します。第1号事業者(小規模第1号事業者)は、組合財産と他に固有財産を有していることになり、法的に分別されることは無いため、第1号事業者(小規模第1号事業者)が倒産した場合は、組合財産にまでその影響が及びます。

また、事業から生じた第三者に対する債務については、匿名組合員は、出資した金額の範囲内でのみ責任を追います。(有限責任)

 

匿名組合の業務の決定は、不特事業者(第1・3号事業者、小規模第1・2号事業者)が行います。匿名組合員である投資家が、不特業者に代わって業務の執行をしたりすることはできません。

 

〇匿名組合型のスキームの例

 

「③賃貸契約型」

当事者の一方が相手方の行う不動産取引のため自らの共有に属する不動産の賃貸をし、又はその賃貸の委任をし、相手方が当該不動産により不動産取引を営み、当該不動産取引から生ずる収益の分配を行うことを約する契約、を言います。【法第2条3項3号】

 

つまり、投資家が取得した共有持分を有する対象不動産を、不特業者が投資家からの不特事業に係る委任手続き(賃貸借契約等)に基づき不動産取引を行い、生じる収益を投資家に分配する、というものです。

 

法第2条3項3号にて、「賃貸」と「賃貸の委任」が区別されている理由は、不特業者が対象不動産をすべて販売し共有していない場合は、共有者から賃貸借契約を締結して不動産を借りて運用していく一方で、すべて販売できていないなど、不特業者が対象不動産を共有している場合は、共有者間での合意として不特業者が第三者へ賃貸させることを委任する委任契約の締結が必要になるから、と考えられています。

 

各投資家が保有するのは、対象不動産の「共有持分」で、各投資家は「対象不動産の共有者」に過ぎません。そのため、対象不動産の一括売却を行う場合には、共有者全員の合意が必要なり、手続きが困難になるケースがあります。

 

〇賃貸契約型のスキームの例