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旅行業
旅行業法においては、報酬を得て一定の行為を行う事業を営もうとする者は、
観光庁長官又は都道府県知事による旅行業又は旅行業者代理業(以下「旅行業者等」といいます。)の登録を
受けなければならないとされています(旅行業法第2条及び第3条)。
旅行業登録の申請を行う場合、第1種旅行業であれば観光庁、
第2種旅行業、第3種旅行業なら登記上の本店に限らず、
旅行業を行う主たる営業所を管轄する各都道府県に対して申請を行います。
また、登録の有効期間は、登録の日から5年となっており、
登録の有効期間の満了後も引き続いて旅行業を営もうとするときは、有効期限の2ヶ月前までに更新申請をする必要があります。
登録事項に変更があったときは、その日から30日以内に届け出なければなりません。
旅行業は、事業形態や企画・募集の種類により、以下で解説する5つの種別に分類されています。
第1種旅行業
海外と国内の募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行、他社募集型企画旅行の代理販売など、
すべての旅行業務を取り扱うことができる種別です。
・募集型企画旅行
旅行業者があらかじめ旅行計画を作成し、参加者を募集するタイプの旅行をいいます。ex.パッケージツアー
・受注型企画旅行
旅行を希望する者からの依頼により、行き先などの要望を反映して計画を作成するタイプの旅行を指します。
・手配旅行
旅行を希望する者からの依頼により、宿泊施設や乗車券などのサービスを手配するタイプの旅行です。
・他社募集型企画旅行の代理販売
自社以外の旅行会社が企画した募集型企画旅行を、自社で代理販売することをいいます。
第2種旅行業
第1種旅行業で取り扱える業務のうち、海外の募集型企画旅行を除くすべての業務を取り扱うことができる種別です。
第3種旅行業
海外・国内の募集型企画旅行を除く、すべての旅行業務を取り扱うことができる種別です。
ただし、一定の条件を満たす場合に限り、国内の募集型企画旅行も取り扱うことができます。
地域限定旅行業
一定の条件を満たす場合に限り、国内の募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行を実施できる種別です。
一定の条件とは、旅行業者の営業所が存在する場所や隣接する市町村に、旅行の出発地・目的地・宿泊地などがあることです。
旅行業者代理業
他社が企画した旅行商品を代理販売する種別である。代理契約を締結した旅行会社からの販売手数料が、収入となります。
締結した契約内容の範囲内で、事業を行うことができます。ただし、2社以上の代理はできません。
旅行サービス手配業
2018年に施行された改正旅行業法により、それまで法律の規制を受けていなかったランドオペレーターを
「旅行サービス手配業者」と定め、旅行業登録の義務を課しています。
ランドオペレーターとは、旅行会社の依頼を受け、宿泊施設や交通機関などの手配・予約を専門に行う業者のことです。
よりスムーズに観光の手配できる一方で、旅行者の安全性や取引の公正さを損なうおそれがあるとの理由から、旅行業の種別に追加されました。
旅行業申請に必要な要件
≪第一種≫
定款 定款の目的欄に「旅行業法に基づく旅行業」を記載する必要があります。
基準資産額 基準資産額が3000万円以上
取扱管理者の選任 総合・国内の旅行業務取扱管理者の選任
※海外旅行を取扱う営業所においては、
必ず総合旅行業務取扱管理者を選任しなければなりません。
1営業所につき1人以上の旅行業務取扱管理者(常勤専任で就業のこと)を選任。
旅行部門従業員数10人以上の営業所においては、2人以上の旅行業務取扱管理者を選任。
≪第二種≫
定款 定款の目的欄に「旅行業法に基づく旅行業」を記載する必要があります。
基準資産額 基準資産額が700万円以上
取扱管理者の選任 総合・国内の旅行業務取扱管理者の選任
※海外旅行を取扱う営業所においては、必ず総合旅行業務取扱管理者を選任
1営業所につき1人以上の旅行業務取扱管理者(常勤専任で就業のこと)を選任
旅行部門従業員数10人以上の営業所においては、2人以上の旅行業務取扱管理者を選任
≪第三種≫
定款 定款の目的欄に「旅行業法に基づく旅行業」を記載する必要があります。
基準資産額 基準資産額が300万円以上
取扱管理者の選任 総合・国内の旅行業取扱管理者の選任
※海外旅行を取扱う営業所においては、必ず総合旅行業務取扱管理者を選任
1営業所につき1人以上の旅行業務取扱管理者(常勤専任で就業のこと)を選任
旅行部門従業員数10人以上の営業所においては、2人以上の旅行業務取扱管理者を選任
≪地域限定≫
定款 定款の目的欄に「旅行業法に基づく旅行業」を記載する必要があります。
基準資産額 基準資産額が100万円以上
取扱管理者の選任 総合・国内の旅行業取扱管理者の選任
※海外旅行を取扱う営業所においては、必ず総合旅行業務取扱管理者を選任
1営業所につき1人以上の旅行業務取扱管理者(常勤専任で就業のこと)を選任
旅行部門従業員数10人以上の営業所においては、2人以上の旅行業務取扱管理者を選任
【基準資産額は、下記の手順で算出します。】
資産総額ー繰越資産(創業費等)ー営業権ー負債の総額ー営業保証金額または弁済業務保証金分担金
※弁済業務保証金分担金は旅行業協会へ加入する場合に必要となります。
旅行業協会に入会するメリット
旅行業を始める業者にとって旅行業協会への加入は、
登録後営業を行っていくうえでもメリットがあり、加入するのが通常です。
行政庁へ旅行業登録する際に、あらかじめ旅行業協会への加入が承認されている必要がありますので、
旅行業を始める場合は、同時に準備をする必要があります。
旅行業協会は下記の日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)の2つ協会です。
旅行業協会に入る主なメリットは、上記でも述べた営業保証金が1/5の金額で済むことです。
第3種を登録するには基準資産額とは別に300万円の営業保証金を支払う必要がありますが、
旅行業協会に入っていると60万円の分担金で済むのです。
登録の手続きについて
第一種旅行業申請の場合
- 申請書類の準備
- 観光庁での申請前ヒアリング
- 所轄運輸局などへの申請書提出
- 観光庁による審査
- 所轄運輸局などからの登録通知
- 営業保証金の供託、または弁済業務保証金分担金の納付
- 弁済業務保証金分担金の供託書の写しを登録行政庁へ送付
- 登録免許税の納付
- 登録票・約款・料金表の店頭への掲示後営業開始
第二種・第三種・旅行業者代理業の場合は、2-5は都道府県の担当窓口で行うことになります。
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